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風水害で川から流れてくる倒木は「やっかいな海漂ゴミ」になる

やっかいな海漂ゴミ

大規模な風水害が起こったとき、山岳部から流れ出る倒木。陸上においても撤去、廃棄されるのですが、海に流れ出てしまうことは少なくありません。その倒木ですが、実はこれがとてもやっかいな存在なのです。

昔は川を使って木材を運んでいました

写真は和歌山県北山村の観光いかだ下り。豊かな自然の景色と、ジェットコースターのように急流を下るスリルが観光名物になっています。テレビなどでご覧になった方も多いのでは無いでしょうか。

しかしこの観光いかだ下り、スリルを提供するために、わざといかだに乗っていただいているわけではないのです。実は林業における運材の一つのスタイルで、上流の山岳地帯で育てた樹木を切り倒して海まで流し、商品として出荷していた名残なのです。

和歌山県の北山川では古くは秀吉の大阪城築城から、江戸幕末の大火など、時流に応じて豊かな木材を都市部に提供してきた歴史があるのです。

出展:「吉野林業全書」/明治34年版

こちらはいかだではなく「管流し」という運材方法です。

川幅が狭いところでは筏を組むことができないので、一本ずつ川に流します。そのままでは流れっぱなしになるので適当な区間でビーバーのような自然のダムで木材をせき止めて、ころあいが来たらその堤を切って、さらに下流に流しました。

自然の恵みを川の力を使って河口まで流して貯木し、やがて大型の船に乗せ換えて出荷する。これがむかしの運材でした。

画像の左側にある丸木のスロープは「修羅(すら)」と呼ばれ、勢いよく木材が川にむかって滑り落ちます。そう、「修羅場」の語源はここにあります。

台風や豪雨で流される倒木

さて、本題はここからです。

日本の山林では利用されることを待って乾燥させている材木がたくさん山のなかにあります。

また、木材輸入の自由化などで使われることが無くなった木材も放置された状態になっており、これらがひとたび台風や豪雨に見舞われると、土砂ごと川に流れだしてしまいます。

スギやヒノキは案外、広範囲に根を張る植物ではなく、また、肥沃ではない土壌に育っている場合が多いのです。雨が土のなかにたまりはじめると、意外に山肌ごと崩れてしまいます。これが土砂崩落、つまり土砂崩れなのです。

大阪湾へ流れつく倒木は海漂ゴミに

令和2年7月豪雨ではこのような映像が頻繁に確認できました。悲しい限りです。

これらの木材の多くは後ほど陸上において引き上げられ、撤去、廃棄されますが多くはそのまま海まで運ばれます。

大阪湾で考えると兵庫周辺の六甲山から流れる急峻な河川、桂川 宇治川 木津川をたばねる淀川水系、大和川水系などが恐ろしいほどの木材が大阪湾に運び込むことになります。

単純に海漂ゴミというだけではありません。大阪湾を行き来する船舶の就航をさまたげる可能性もあるわけです。

一筋縄では廃棄できない風水害の倒木

画像をご覧ください。結構大きな石を、倒木がくわえ込んでいることがわかりますか?

これは風水害の恐ろしさを示しています。

川の流れ、動水圧というパワーはとてつもなく、数~数十トン/秒という重さで圧力をかけます。巨大な倒木も耐えかねて、川底や川岸を転がりながら流れていきます。

その際に河原や川底の石をこうして加えこむのです。こういう倒木が橋げたや堤防にひっかると凶器になるといえます。

ましてや海洋に漂い、小型(大型もですが)の船舶と接触すると重大なアクシデントになりかねません。

なお、このような倒木を陸にあげて通常のチェーンソーで切断すると、抱え込んだ石のためにあっという間にチェーンソーの歯がボロボロになってしまうでしょう。

風水害で改めて考えさせられるDr.海洋の役割

海の潮目にこのように危険な倒木がたまり、それを引き上げ、特殊な装置を使って玉切り(適度にカット)するというDr.海洋の役割は改めてすごいと思うのです。

危険を伴う作業です。ごみの撤去だけではなく、船舶の安全就航を考えるうえでも重要なのですね。

令和2年7月豪雨、そしてこれからも続くであろう台風の発生を考えると、現在フル稼働でDr.海洋は活躍していることでしょう。頭が下がります。

川から流れ出た倒木というものは、海の上でぷかぷか浮かんでいる、そういう印象をお持ちでしたら、それは少し考え違いです。むかしは節度のある林業、運材の姿があったわけですが、どうも深刻な状況に変わってきているようです。

山や川は海につながっているのです。この状態をどのように改善していくべきか、皆さんも考えてみませんか?

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