チリメンモンスターのさがし方 簡単解説

チリメンモンスター、略して「チリモン」探しは海の小さい生きものを手にとって観察できる身近な自然観察実習です。
大量に捕獲されるチリメンジャコ(シラス/カタクチイワシの幼魚)に混じったエビやカニの幼生、おサカナの子どもたちを見つけることを通じて、海の生態系(生態網)や生きもの観察における科学的な同定手法が学べます。
ゲーム感覚で参加できるうえに、食卓からつながる海や漁業に関しても想像力を広げることができるため、小さな子どもから成人まで、幅広い方々をも対象とできるワークショップといえます。
今回はその基本的な流れ、チリメンモンスターのさがし方を簡単に解説します。
まずお皿に広げて見やすくする

まずは大きなお皿を準備し、そこにチリメンジャコを広げます。小さな生きものを見分けるので、お皿は白色がいいでしょう。
また、底が浅いもの(紙皿でもOK)がチリメンジャコが広がりやすく、色や大きさの違いも分かりやすいでしょう。
写真はチリモン探しワークショップ専用のチリメンジャコ。幼児にも適した大変わかりやすいものですが、市販のチリメンジャコでも構いません。
市販のものからチリモンを探し出すのは難易度が高くなりますが、見つけたときの感動はひとしお(笑)です。
カタクチイワシとそれとはちがう生きもの

基本として大多数であるカタクチイワシ、つまりはチリメンジャコの姿をしっかり覚えてください。
パンフレット右上に大きく映っているのがカタクチイワシです。
色や大きさ、カタチの違いではっきり見分けられるチリモンも多いのですが、カタクチイワシに大変似ているちゃっかりもののチリモンや、胴体が粉砕した大物のチリモンも紛れていたりするので注意が必要です。
小さなお皿にチリモンを移す

この作業も重要です。写真では金属製のバットを使っていますが、小さな小皿、紙皿でも問題ありません。
ここで役立つのはピンセットですが高価なものは必要ありません。百円均一ショップで手に入るものやトゲヌキ、お箸でも代用は可能です。
チリモンは乾燥していて取り出しやすいのですが、エビカニなどの甲殻類の節足、イカ、タコなど軟体動物の触手などは損傷しやすいので慎重に行ってください。
観察して どんな生きものの子どもかを考える

ここが実習、ワークショップとして肝心なポイントです。
ルーペや虫メガネなどを使ってチリモンが“どんな生きものの子どもか”考えてみます。イカやタコは比較的わかりやすいのですが、エビ、カニなどの甲殻類は成長した姿とはちがったカタチをしています。
また、魚類の幼魚についても同じことがいえ、専門家でも「〇〇のなかま」という表現することが多いのです。このあたりが大人でも夢中になってしまうチリモン探しの醍醐味といえるでしょう。
小さな生きものが無限に住んでいる海の世界。小学校中学年以下を対象とするなら、その広がりのある世界を想像してもらうのもいいでしょう。
カードに保存して完成

チリモン探し専用のカードに木工用ボンドで接着。20分もあれば手軽な標本の完成です。
チリモンを同定できたら、その名前をしっかり記入しておきましょう。専用カードでなくてもスケッチや絵画にするのも素晴らしいです。
エビ、カニなどの成長過程を想像する、なぜ小さな生きものたちが海洋を漂うのか、さらになぜ大量のタマゴが孵化し、漂わなければならないのか…不思議がいっぱい見つかります。
そうそう、それと“レアモン”と呼ばれるめったに見つけることのできないチリモンも存在しており、ぜひとも大人も積極的に参戦していただきたいところです。
※実習としてチリモンを食用することは、食物アレルギー対策の観点からおやめください。
生きものの同定に関しては下記のインターネットサイトが便利です。
・「チリモン図鑑」(ネイチャーおおさか 公益社団法人 大阪自然環境保全協会)
>>> http://chirimon.jp/
また、先生方を対象とした書籍もおススメです。
「これからはじめる人のためのチリメンモンスター実習ガイド」
>>> https://kishibura.jp/blog/shizen/2019/09/chirimon-7.html
一度体験すると、これまでのように普通にチリメンジャコをごはんにまぶして食べられなくなるチリモン探し。ご家庭でもお手軽に実践可能な自然体験として、チャレンジされることをおススメします。
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